おれの友達にヘンな酋長がいる。ウワサには病気をしたと聞いていた。
おれが10年ずーっとやっているエイズのコンサートにその酋長が来て、
なにか毒づいて帰っていった。毒づけるくらいだからもう元気になったのだろう。
「お前、45年前おれが連れている女をブスだと言ったろう?」
確かに45年前、こいつはブスな女を連れていたことがあった。いい女とかブスだとか、その人間の審美眼によると思うが、この酋長の連れている女は
誰が見てもブスだと思う、すこぶるつきのブスだった。
おれはさすがに頭にきていってやった。
「ばかやろう、ブスをつれているのにブスと言ってどこが悪い?くやしかったらいい女連れて歩け!」って。
神様が醜いものが嫌いだとある高名な音楽家が言っていたけど、まったくそのとおりだ。この間抜け底抜けのトンチキだ。
そしたら酋長はこういった。
「そうだよな。あれはホントにブスだったなあ」といった。
なんだ、自分でもわかっていたのかと思った。
酋長はけっこう斜めの感じのハンサムなやつなんだけど。
「じゃあな。今度はいい女連れてくるよ」と酋長は言って帰っていった。
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